午前12時
午前12時。トラ騒動のあった時間だが、トラはおろかシカすら現れないブンブン・ブラウ。
定点カメラに異常なしレポートをしていると、いきなりガタッっという音が本気で怖くなってきたが、K氏は相変わらずいびきをかいて寝ている。ちょっと動物観察をしてみるも、ロウソクの明かりが明るすぎて外がよく見えないから、うちわで炎が外に漏れないように遮ってみたりといろいろ工夫しながらの観察。それにしてもK氏が炊いた蚊取り線香が煙い。
変化のない外の様子に飽きて、減ってきたロウソクにわたしが持参した仏壇用のローソクを折って補充。いい感じでロウが溶けていく。合わせて4本ロウソクを持ってきたので、朝まで持ちこたえられるかも。そんなことを思いつつ、調子に乗って投入したロウソクが芯に当たり、火がいきなり小さくなった! う、心細い。それまで何とも感じていなかったジャングルの闇がいきなり恐怖となって襲ってくる。ちょっとでも物音がするだけで、びくっとしていた。火が小さくなり周りのロウが固まり始めたので自分なりに、折り入れて余ったロウソクの芯を入れてみたり、傾いたロウソクの芯を持ち上げようとしてみたりしたのだが、一向に成果はあがらず、ただいたずらに時は過ぎてくだけであった。
交代の時間
午前1時。交代の時間である。K氏を揺すり起こすが起きない。困った。何回かチャレンジするものの深い眠りに入っているらしく、起きてくれない。10分後、ようやく起きたK氏に、ロウソクの火が小さくなったことを告げるが、ロウソクの芯が無駄に何本も入っている瓶を見て「何してるの?」って笑われた。ことの顛末を話して、わたしが寝ようとしたとき、K氏が「ほら大きくなった」といってロウソクの火が元の明るさを取り戻しているのを見せてくれた。「どうやったの?」と問うわたしに「ツボ押し器でちょっと持ち上げた」とK氏。そうかそれくらいだったらツボ押し器も燃えないんだ。
K氏にブンブン・ブラウで寝ている姿をカメラに押さえておくように頼んで就寝。しかし、後日できあがった写真はわたしの寝姿だけで、どこで寝てるかわからないアングル。
やっと眠りについたころ、K氏に起こされる。午前2時半の交代だ。とにかくたまにヘッドライトで外を見て何もいないことを確認して、ロウソクのロウを足す作業に没頭。切りのいい時間に定点カメラレポートを入れるという感じ。とにかく2時半から4時までと次の5時半から7時までが辛かった。5時半からの回は待てど暮らせど夜は明けず、本当にK氏の隣でわたしも寝てしまおうかと思ったくらい。でもそれをしたら、きっと迎えのボートの時間を寝過ごすに違いない。そう思って、朦朧とする頭でひたすら目を開けることに集中していた。
6時すぎ、わたしがロウソクの芯をたくさん入れすぎたため、それに引火し瓶がものすごい音を立てて割れた。さすがのK氏もその音には反応して起きたものの、明るくなってから片付けようといって、また眠りの中へ。
ジャングルの朝
結局空が白み始めたのは午前7時前。ジャングルの夜明けって遅かったのね。
7時に起床し、薄暗い中、割れた瓶の始末、身支度をまとめて外へ出る。一応ヤラっぷりを三脚を使って記念撮影。急いでジェティへ向かう。
ジェティまで朦朧とした意識で歩いていると、前を両手でも抱えきれないくらいの鳥がてってってっと歩いて道を横切ってジャングルの中へ消えていった。「あ、鳥!」というわたし。どんなのと訊くK氏に「これくらいの黒い鳥が歩いて横切った」というと「うそだぁ、そんな大きな鳥がいるわけない。きっと幻想をみたに違いない」というK氏。確かにブンブン・ブラウまで来て見たのは鳥3匹とコウモリとトカゲ1匹だけだ。ダチョウの小さいみたいな鳥が歩いていたといっても信じてくれないだろう。幻想か妄想にされかけたとき、目の前をまたさっきの鳥が歩いていった。今度はK氏もしっかり見たよう。「ね、いたでしょ」と勝ち誇ったわたしだが、朦朧としていたのととっさの出来事でカメラに収められなかったのが悔しい。
ジェティまでは15分程で到着。約束の時間より15分も早く着いたのに、もう迎えのボートは来ていて、待ちきれなかったようで上に方まで出迎えに来てくれた。そして「何か見れたか?」と聞いてきたので「Three birds」と答えたら、ふふって鼻で笑われた。
昨日の夜上流で雨が降ったらしく水かさの増したテンベリン川を遡り、無事に生還。ただし、生気ははい。宿まで歩いている間に鶏と猫を見た。
喉が痛い
宿に帰ったら案の定掃除はしていなかった。どういうシステムなのか未だにわからない。宿の朝食の時間に間に合ったので、朝食を食べる。眠いわたしはK氏にいう。「なんかわたしの番が1回多くなかった?」と。しかしK氏は自分が夕飯を食べる前に一眠りしたのは勘定に入れていないらしく、同じ回数だと言い張る。それでもブツブツいうわたしに、「あなたが来たいっていたんでしょ」と。それをいわれたら何も言えない。
とにかく新しいバスタオルをレセプションにもらいにいって、シャワーを浴びる。洗濯をして干してから就寝。
しかし、昨晩、蚊取り線香の煙で喉をやられてしまったようで、エアコンの風で咳が出る。一応葛根湯を飲んで寝たものの、眠れず、エアコンを切ってもらうことに。それでもあまり眠れないまま、午後2時過ぎにお腹が空いて目が覚める。
昼ご飯を求めて
ネットが見たいというK氏とともに宿のレセプションに向かう。ネットが1時間RM5だったからだ。しかし、なんということか、日本語のフォントが入っていないらしくページがすべて????で表される。それでも、必要なメールが入っていることを確認するK氏。いったいどんな技を使っているんだい? わたしも、家を出る前に朝日新聞に載った鈴井さんの記事を切り抜いてこなかったことが気になって、母と姉にローマ字でメール。伝わるだろうか。心配だ。
歩くのが面倒だったんだけれど、レセプション横のカフェのオープン時間はもう終わっていて、ご飯を食べたかったらフローティングレストランまで歩くしかない。部屋に帰って身支度を整え出発。
フローティングレストランではまたカンポンフライドライスとライチジュースを注文。午後のひととき。いい感じ。
国際電話はかけられない
鈴井さんの新聞記事が捨てられることがやっぱり気になるわたしは直接家に電話を入れた方がいいのではないかと思い、公衆電話のあるムティアラ・タマンヌガラに渡ることにした。以前のマレーシア旅行で買ったテレホンカードがまだ残っているからだ。しかし、公衆電話はもう流行らないらしく撤去されているのがほとんど。ムティアラ・タマンヌガラ内にTELEKOMの公衆電話があったのを覚えていたのだ。
渡し船でムティアラ・タマンヌガラに渡り、階段を登る。そして公衆電話に近づいて受話器を取って見るもつながらない。う〜ん、とガイドブックの国際電話のかけ方っていうところを見ていたら、そばに座っていたおじさんが、そこのはつながってないからあっちのでかけろ、っていわる。しかし、その公衆電話でもつながらない。どうしたものかと、ムティアラ・タマンヌガラのレセプションに訊いてみると、どうやら海外には公衆電話からはかけられないらしい。RM5でここからかけられるといわれたけれど、そこまでしてかけるものではないと思って、退散。ちなみにムティアラ・タマンヌガラのビジネスセンターらしきところにあったネットはRM10。高い。K氏にやるかといったが、高いからいいという。
ムティアラ・タマンヌガラをちょっと楽しむ
それからミニショップに入ってみる。すべてのものが高い。1.5lの水がなんとRM5.5もするのだ。もうびっくりさ。そしてミニショップの奥に帽子やポロシャツなんかが売っているコーナーが。ああ、きっとリゾート気分で来ちゃった人がここで軌道修正するために買うんだね、と眺めていた。そして、初めにタマンヌガラに来ようと誘った友達におみやげに買っていこうと、ガイドの洋さんが被っていたと同じ思われる紺色の帽子を購入。(帰国後、確かめたらピンクの帽子でした。)
リゾートの入り口に何やら楽器を持った人たちが集まり始めた。時計を見ると4時半。もしかして、これは宿泊客の出迎えか? 座って見ているとボートで到着した人たちは急な階段を荷物を持って上がらなくても、階段にそって設置してる荷物引き上げ機に乗せればいいのだ。手ぶらで音楽がなる中ウェルカムドリンクで歓迎を受ける。わたしたちがクアラタハンに着いたときとずいぶん違うじゃないか。これが、ムティアラ・タマンヌガラなんだな。伊達に高い料金設定をしているわけじゃない。河原を重い荷物を持ってあるくあの苦しみがあったからこそわかるこのサービス。到着時間といい、アクティビティの申し込みなどを考えてもムティアラ・タマンヌガラに泊まる価値はある。
それから木の上で遊ぶリスを見て(これもうまくカメラに収められなかった)、対岸に渡り、ミニショップでおみやげにタマンヌガラのマップのハンカチを、露天で黄色いランブータンを購入して宿へ戻った。ランブータンを買うときに店のお姉さんが「ライチ」といったので、どう見てもランブータンのこの物体はライチなのかとびっくりしたら、どうやら「ライク・ライチ」といったよう。そんな感じで宿に戻って、ランブータンを食べた。
ひと休みして午後7時半、いつものナシゴレンを食べて、軽くシャワーを浴びて就寝。レセプションにジェティまで送ってほしいと告げると、どこのボート会社か訊かれてLBKって答えたら、8時50分にここに来るようにいわれた。どうやらLBKならタダで送ってくれるらしい。
ロウソクの明かりが窓の外に漏れると観察しにくいのでうちわで遮ってみた。
夜のジャングル。特に異常なし。
ブンブン・ブラウでバスタオルにくるまって仮眠。結構寒くて湿り気があるので暖かい格好で。
ジャングルの夜明けを観察。
ジャングルの朝は7時を過ぎてから。
ブンブン・ブラウを訪れた人たちの感想が書かれてるノート。なんて書いたかは内緒。
時間前に向かえに来てくれたおじさんたち。ありがとう。
宿に戻って食べた朝食。やっぱりいつもと同じ。
昼食にフローティングレストランで食べたカンポンフライドライス。
海外にはかけられない公衆電話。携帯の時代で公衆電話は撤去されていたものが多かった。
ムティアラ・タマンヌガラ内のミニマート。おみやげに帽子を買いました。
ムティアラ・タマンヌガラは民族音楽で出迎え、ウエルカムドリンクもある。水曜どうでしょうではこういうところはカットしているんだね。
露店で買った黄色いランブータン。赤のランブータンよりも肉厚でおいしかった。