概要・特徴
設計 | 建築 | 伊東豊雄建築設計事務所 |
構造 | 佐々木睦朗構造計画研究所 | |
設備 | イーエスアソシエーツ(空調設備) 総合設備設計(空調・衛生・電気設備) 大滝設備設計事務所(電気設備) |
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照明 計画 |
ライティング プランナーズ アソシエーツ |
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施工 | 熊谷組・竹中工務店・安藤建設・ 橋本共同企業体 |
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敷地面積 | 3,948.72 m2 | |
建築面積 | 2,933.12 m2 | |
延床面積 | 21,682.15 m2 | |
階数 | 地下2階 地上8階 | |
構造 | 地下1階〜地上8階:鉄骨造 地下2階:鉄筋コンクリート造 |
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工期 | 1997年12月〜2000年8月 |
せんだいメディアテークは伊東豊雄が設計し、佐々木睦朗が構造計画を行い、2001年1月開館した、誰もが情報を収集し蓄積し編集し発信のできる場所として設置された施設。そのため、図書館やギャラリー、スタジオなどの施設がある。しかし、せんだいメディアテークが単なる施設の寄せ集めでないのは、その理念・サービス・プログラムに一貫したものがあり、その理念に基づき設計・運営されているためである。また、2001年のグッドデザイン賞の大賞にも選ばれている。
建築的特徴としては、建物全体が13本の鉄骨独立シャフト(チューブ:主に鋼管トラス構造)と7枚の鉄骨フラットスラブ(ハニカムスラブ:鋼鈑サンドイッチ構造)で構成しており、各階異なる平面計画を採用していることである。これにより壁面に柱が来ることがなく開放的で、外と内の距離を近くしている。また、広い平面を持ち自由なレイアウトは可能である。チューブは、屋上からの自然光を各階の建物内部に届け、エレベーターや非常階段などの各階を貫くコア部分としても活用されている。また、南面の全面にはガラスのダブルスキンと上部の開閉機構で空調コストを軽減している。夏期は機構を開放し、内側に上昇気流を起こしてガラス面を冷却。逆に冬季は閉めて、断熱性の高い空気層をつくる。
上左:1階プラザ内観 上右:4階から望む3階ライブラリ
下左:立体平面案内図 下中:床下空調吹き出し口 下右:外壁ガラスのダブルスキン
感想・考察
コンペ当選案の浮遊する海草のイメージからすれば、ややがっしりしたフラットな平面を持つ建築物になっているが、その特長といえばやはり内面からわき上がる活気であると思う。この建築物に足を踏み入れた瞬間に感じるわくわくドキドキ感は、実際にそこを訪れたものでないとわからないのではないか。写真からではけして伝わってこない躍動感がそこにはある。
伊東豊雄本人の言葉を借りればそれはアジア的な「流動的都市空間」(新建築2001年3月号より) であるのだろう。垂直と水平とに区切られた空間における部屋という概念を持つ西洋的スカイスクレーパーではなく、フラットなスラブに挟まれた空間以外何も空間を定義づけるものがないがゆえ、混じり合うように柔らかに区切られた空間を持ち、ガラス張りのファサードからそれが街に溶け出し、建物もまた街の一部と化す。どこからが生活空間でどこからが公共空間か境のわからなかった頃のアジアの街そのものである。