先日 ML115 (G1) のファンを取り替え、チップセットファンを増設したのですが、チップセットファンの音が気になります。
→ ML115 のファン交換とチップセット温度(と消費電力)
チップセットファンとして取りつけたのは 4 cm のファンなのですが、静音性の高いものを選んでも、小型ファンは風量を確保するために高速で回転するので、ファン自体が振動するようです。
目次
取りつけたファンの騒音レベルを測定する
まずは各ファンの音を BIOS 画面の状態で測定してみました。
ケースファン 23 dB 。
CPU ファン 15 dB 。
チップセットファン 21 dB 。
取りつけた各ファンの性能は下記の表のよう。
ケースファン | CPU ファン | チップセットファン | |
型番 | GELID Silent9 PWM | GELID Silent8 PWM | AINEX CFZ-4010LA |
サイズ | 92 × 92 × 25 mm | 80 × 80 × 25 mm | 40 × 40 × 10 mm |
回転数 | 900 ~ 2000 rpm ± 10% | 900 ~ 2000 rpm ± 10% | 3300 ± 10% rpm |
ノイズレベル | 11.0 ~ 23.5 dBA | 10.0 ~ 21.5dBA | 10.3 dBA |
最大風量 | 37.89 CFM | 27.0 CFM | 4.02 CFM |
消費電力 | 0.18 A | 0.13A | 1.20 W |
やはりチップセットファンは風量が 4.02 CFM の割にはノイズレベルが 10.3 dBA とうるさいのがわかります。
ということで風量を確保しつつ、騒音レベルを抑えられないか検討してみました。
鎌風の風 PWM をつけてみる
小さい径のファンはうるさいので、静音化の基本は径の大きなファンを取りつけ回転数を落とすこと。そこで思い立ったのがケースファンにしようと思って購入したけれど、 BIOS に認識されなかった鎌風の風 PWM 92 mm 。これを PWM が有効の状態で設置できれば、最低の回転数の 300 rpm あたりで回転し、風量も 6.7 CFM なので、そこそこ冷却できるのではないかと考えました。
PWM を効かせるために配線はケースファンをつないでいたコネクタを外し、チップセットファンの電源を取るために購入したファン PWM 信号 4 分岐ケーブルを接続し、その 4 ピン全部揃っているコネクタにケースファンを接続、他の 3 番目のピン(パルス)がないのところにチップセットファンとして利用する鎌風の風 PWM を接続しました。これでファンの回転状態を送るのはケースファンで、 PWM 信号はケースファン、チップセットファンの両方で受け取れることになります。なので、鎌風の風 PWM も最高回転数の 2500 rpm ではなく制御された回転数になるはずです。
そして騒音レベルとチップセット温度を計測してみました。
騒音レベルは 10 dB とかなり下がりましたが、チップセット温度が 54.8 ℃ と芳しくありません。鎌風の風 PWM が 9 cm ファンのため、 CPU ファンが邪魔になってチップセットのヒートシンクの近くに設置できなかったのが敗因のようです。(ちなみに鎌風の風 PWM はケースに両面テープで固定しました。)
4 cm ファンの接続方法を変える
ここで鎌風の風 PWM を設置したときと同じ配線で、 4 cm ファンを回すとどうなるのか試してみました。
結果は騒音レベルは 13 dB 、チップセット温度は 39.3 ℃ とそこそこの結果を得ることができました。 PWM 信号を 4 cm ファンが受け取っているわけではないのに、回転数が少し下がったのでしょうか。
PWM 信号のあるコネクタに接続して 4 cm チップセットファンの騒音レベルを計測
ケースのフタを閉めて計測しました。結果を表にまとめてみました。
構成 | 状態 | 騒音 レベル |
チップ セット 温度 |
消費電力 | CPU 温度 |
ケース 内温度 |
CPU ファン 回転数 |
ケース ファン 回転数 |
チップ セット ファン あり (18.8 ℃ ) |
BIOS 画面 |
9 dB | 39.3 ° C | 92.5 W | – | – | – | – |
アイドル | 9 dB | 39.2 ° C | 69.6 W | – | – | – | – | |
CPU 使用率 20 % |
9 dB | 38.9 ° C | 78.6 W | – | – | – | – | |
CPU 使用率 90 % |
11 dB | 40.2 ° C | 101 W | – | – | – | – | |
チップ セット ファンを PWM に 接続 (21.2 ℃ ) |
BIOS 画面 |
10 dB | 40.8 ℃ | 92.2 W | 46 ℃ | 33 ℃ | 1139 rpm | 1217 rmp |
アイドル | 10 db | 39.9 ℃ | 68.8 W | – | – | – | – | |
CPU 使用率 20 % |
11 dB | 40.5 ℃ | 81.8 W | – | – | – | – | |
CPU 使用率 90 % |
10 dB | 42.0 ℃ | 96.7 W | – | – | – | – |
※構成のカッコ内の数値はその日の最高気温。
チップセットファンの配線をケースファンの PWM 信号につながなかったときに比べて、温度が 1 ℃ ほど高くなりましたが、出荷時構成の 53.1 ° C よりは低いので問題ないと思います。
表にしてみると騒音レベルも全体的に 1 dB 程度上がっています。ファン自体の騒音レベルは下がったのに、ケースのフタを閉めて測定すると、少し音が大きくなるのが納得いきません。もしかしたら接続を変える前より気温が高かったためファンが余計に回っているのかもしれません。温度計を 2 台購入して気温も測定すべきでした。参考値としてその日の最高気温を掲載しました。
チップセットファンにシリコンワッシャーを取りつける
さらなるチップセットファンのさらなる静音化を求め、シリコンワッシャーを取りつけることにしました。
チップセットファンとして 4 cm ファンを取りつけてから、ジーっというような耳障りな音が気になり始めたからです。どうも 4 cm ファンの振動がヒートシンクに伝わり、その部分の接合が目玉クリップでしっかり固定されていないため、どこかと共振しているのが問題のようです。 4 cm ファンの枠に触れると振動しているのがわかるので、これがうるさい原因だと思われます。
今回購入したのは防振シリコンゴムワッシャー。近所の PC パーツ店で購入してきました。重量が軽いものの振動を伝えないためにはやわらかいゴムがいいようです。
→創造の館: PC の低騒音化
穴が 2 mm だったので、 M3 のネジを使っているから小さいかな、と思いましたがぴったりはまりました。( M3 の金属製ワッシャーの穴のサイズは 3 mm 。)
穴が小さくてネジが通らなかったら、大きくしようとダイソーでポンチを購入してきたのですが、無駄な買い物でした。
ファンと L 字金具を固定しているネジの前後にシリコンワッシャーを入れてみました。
PWM 信号に配線につなげて、チップセットファンを取りつけて騒音レベルを測ってみました。何も対策をしていないときの 21 dB にくらべて 14 dB と静かになっています。しかしシリコンワッシャーをつける前の 13 dB よりは大きくなっています。体感的には振動がケースに伝わらなくなったからか、気になる音がなくなったのでよいのですが。
チップセットファンにシリコンワッシャーを取りつけて騒音レベルを計測
ケースのフタを閉めて計測してみました。
構成 | 状態 | 騒音 レベル |
チップ セット 温度 |
消費電力 | CPU 温度 |
ケース 内温度 |
CPU ファン 回転数 |
ケース ファン 回転数 |
チップ セット ファン あり (18.8 ℃ ) |
BIOS 画面 |
9 dB | 39.3 ° C | 92.5 W | – | – | – | – |
アイドル | 9 dB | 39.2 ° C | 69.6 W | – | – | – | – | |
CPU 使用率 20 % |
9 dB | 38.9 ° C | 78.6 W | – | – | – | – | |
CPU 使用率 90 % |
11 dB | 40.2 ° C | 101 W | – | – | – | – | |
チップ セット ファンを PWM に 接続 (21.2 ℃ ) |
BIOS 画面 |
10 dB | 40.8 ℃ | 92.2 W | 46 ℃ | 33 ℃ | 1139 rpm | 1217 rmp |
アイドル | 10 db | 39.9 ℃ | 68.8 W | – | – | – | – | |
CPU 使用率 20 % |
11 dB | 40.5 ℃ | 81.8 W | – | – | – | – | |
CPU 使用率 90 % |
10 dB | 42.0 ℃ | 96.7 W | – | – | – | – | |
ゴム ワッシャー 挿入後 (15.0 ℃ ) |
BIOS 画面 |
11 dB | 39.5 ℃ | 89.9 W | 43 ℃ | 29 ℃ | 1120 rpm | 1000 rpm |
アイドル | 10 dB | 37.9 ℃ | 69.6 W | – | – | – | – | |
CPU 使用率 20 % |
10 dB | 38.3 ℃ | 79.1 W | – | – | – | – | |
CPU 使用率 90 % |
12 dB | 39.2 ℃ | 94.7 W | – | – | – | – |
※構成のカッコ内の数値はその日の最高気温。
シリコンワッシャーを取りつけた方が最高気温が低いにもかかわらず、騒音レベルが全体的に 1 dB 程度高いです。むしろ対策するたびに 1 dB ずつくらい大きくなっています。もしかしたらまったく意味のない対策をしてしまったのかもしれません。(ゴムワッシャーを取りつけることで逆に共振を引き起こすこともあるらしいです。)
しかしチップセットファンの枠に触れると振動をかなり感じるのに、ヒートシンクにはその振動が伝わっていないようでした。あと耳につくジーっという嫌な音が減っているように感じました。(このあたりを測定するには周波数別に騒音レベルを測れる機器が必要そうです。)コタツに入っているとコタツのファンの音のほうが気になる程度になったので、数値には現れませんでしたが対策してよかったです。
あとはケースの側面に触れてみると、チップセットファンと CPU ファンのあたりが振動しているので、このあたりを対策したらもっと静かになるかもしれません。
CPU のドライバを変えることで、電力の消費を少なくし、熱の発生を抑えてみました。
→ ML115 を Cool ’ n ’ Quiet で節電と静音化