デジカメで撮影した写真データのバックアップの話です。 5 年前にも検討していてその時は Picasa ウェブアルバムにバックアップすることにしました。
→クラウドへの写真データのバックアップを検討する
目次
Picasa のサービス終了から Google フォトへ
しかし 2016 年 4 月末にて Picasa ウェブアルバムのサービスは終了して、 Google フォトに統合されました。終了後もアプリケーションの Picasa からしばらくはアップロードできていたのですが、 8 月末くらいにそれもできなくなりました。 Google フォトのアップロード用アプリケーションはファイルをただアップロードするだけで、ローカルのフォルダに合わせて自動的にアルバムを作成はしてくれません。これがすごく不便です。またアルバム名で検索できなかったり、写真がダラダラ並ぶだけで目的の写真がちっとも見つからないのです。(写真を放り込んでおせば勝手にアルバムを作ってくれたり、顔を識別して人別に写真を見られたりするので、自分で整理したくない人にはとても便利かもしれません。)
あと気になるのが容量無制限になる条件です。 Picasa ウェブアルバム( Google+ )時代は 2048 × 2048 px 以下、 Google フォトになってからは高品質(圧縮あり)で 1600 万画素以下なら容量無制限で保存できます。 iPhone から閲覧するには充分なので Google フォトにある写真は iPhone から削除してるのだけれど、やはりバックアップとしてはリサイズされたものや圧縮されはものではなく、元データで残したいじゃないですか。ということで写真データのバックアップについては 5 年間ずっと頭の片隅にあり検討していました。
2012 年、 Google Drive のサービス開始でストレージが値上げ
Picasa ウェブアルバムに元のサイズでアップロードできるように保存容量を増やそうかと検討していたのですが、 2012 年 4 月に Google Drive がリリースされ、 Google のストレージ価格が改定されました。わたしが利用しそうな 100 GB で月 4.99 ドル(年 60 ドル)です。改定前は 80 GB で年 20 ドルだったので、かかる費用が 3 倍になります。これはないな、と思い候補から外しました。 Picasa ウェブアルバムを使っていた身としては Google の追加ストレージを購入するのが一番すっきりするのですがね。
ちなみに 2014 年 3 月に再度価格改定があり、 100 GB は月 1.99 ドルになりました。これなら年 24 ドルなので写真のバックアップとしてはよいのではないでしょうか。最近円でも価格設定し出したらしく、 100 GB が月 250 円なので、年 3000 円です。
2012 年、 Amazon Glacier のサービス開始
2012 年 8 月に Amazon Glacier といサービスが始まりました。これは Amazon のストレージサービスで、データを取り出すのには時間がかかるけれど格安でデータを預かったくれるというサービスです。あまりアクセスしないデータをバックアップやアーカイブのために保存しておく用途に適してします。
このサービスが始まったとき、もしもの時に備えてバックアップしておく写真データには最適ではないかと思ったのです。写真はデータを変更することもないし、データを取り出すときはローカルのデータが失われたときだけだからです。
しかしサービスが始まったばかりだったので使い方がよくわからなかったのです。当時は Mac からアップロードできるクライアントはなく、ゴリゴリコードを書かなくてはならないようだったので諦めました。
しばらくしてから Amazon S3 経由で Amazon Glacier にアーカイブできるようになったようですね。わたしはこの情報に気がつかなかったので、 Amazon Glacier は選択肢から外れてしまいました。 Amazon S3 にアップロードすればよいのであれば、 Transmit や CyberDuck などの Mac 用のクライアントが使えるのでかなり敷居が下がります。
ちなみに料金ですが、サービス開始当時は東京リージョンで月額 $0.012/GB でした。(現在は値下げされており $0.0114 /GB 。)わたしの写真データが 50 GB 程度だったようなので、月 0.6 ドル(月あたり約 60 円、年 720 円)で写真データがバックアップできることになります。 Amazon Glacier はリクエスト料金が別途かかますが、それを考えてもかなりコストパフォーマンスがよいです。
ちなみにリクエスト料金はアップロードするのに 1000 リクエストあたり $0.0571 かかります。デジカメデータが 1 枚あたり 1 MB だとすると、 50 GB は 5 万枚なので 2.855 ドル。 290 円程度かかることになります。(フォルダごとに zip でまとめればリクエストは少なくできます。)
S3 経由だと転送料金はかなり安くなりますが、 Glacier に移すまでの S3 のストレージ料金が別途かかります。以下 S3 から Glacier へのアーカイブを 1 日とした場合の試算。
ストレージ: 50 GB × 1/30 × 0.0330 = 0.055 ドル
リクエスト: 50000 × 0.0047/1000 = 0.235 ドル
合計 0.290 ドル、約 29 円
S3 のリクエスト料金は Glacier の 1/10 なので、 S3 経由がおすすめかもしれません。( S3 から Glacier に移すのに多少リクエストがかかるようですが、無視していい程度のようです。)
2013 年、 Flickr が 1 TB まで無料になる
2011 年に検討した時にも候補に上がっていた Flickr 。これが 2013 年 5 月に大型アップデートをしてなんと 1 TB まで無料で保存できるようになったのです。
これは写真データのバックアップに最適なのではないかと思い、 APS フィルムをデータ化した時に写真をいくつか上げてみたのですが、元データと Flickr にアップロードしてダウンロードしたデータが全く同じではないのですよね。まあ気にしなければそれでもいいのだけれど、なんとなく気になってしまいアップロードを途中でやめてしまいました。
最近では Flickr を運営している本家 Yahoo! の業績もよくないようで身売りするらしいですし、この先このレベルのサービスが継続されるか心配でもあります。
あと RAW ファイルはアップロードできません。
写真が見られればよい、 JPEG ファイルしかない、お金はかけたくない、といった方は Flickr がおすすめです。
2014 年、 Amazon プライム・フォトがアメリカでサービス開始
2014 年 11 月にアメリカで始まったサービスです。 Amazon プライム会員向けに提供されたサービスですが、非会員でも年額 12 ドルで写真データを容量無制限に保存できました。予算的にもちょうどいいので、日本でもサービスが始まらないかなぁ、と思っていたのですが、 2016 年 1 月にサービスが始まったときにはなんとプライム会員のみに提供され、アメリカのように非会員への提供はなかったのです。これにはかなりがっかりしました。(その後アメリカでも非会員向けの提供はなくなりました。)
写真データの保存だけにプライム会員の年 3900 円払うのはなぁ、と思っていたのですが、 9 月に Fire TV をネットワークメディアプレイヤーとして使うために買って考えが一変しました。
→ Fire TV をネットワークメディアプレイヤーとして使うために買った
プライム・ビデオも見れて年 3900 円ならいいのではないかと。そして義両親がタブレットがほしいといっているので、プライム会員なら Fire HD 8 の 4000 円引きクーポンがもらえるので、充分元が取れるのではないかと考えました。
RAW も無制限に保存できる
あと Amazon プライム・フォトのよいところは、 JPEG だけでなく RAW も容量無制限だというところです。今年 RAW でも記録できるコンデジ LUMIX TZ-70 を購入し、 RAW + JPEG で保存しているので、データが大量に増えます。これを無制限に保存できるのはうれしいですね。
しかし Amazon のヘルプには LUMIX の RAW 対応とは書かれていません。
→ Amazon.co.jp ヘルプ: RAW ファイルについて
調べてみると、 Amazon Drive に対応している RAW ファイルというのは、プレビューが表示されるものという意味のようです。対応していない RAW ファイルもアップロードできるし、容量にもカウントされないようです。もちろん LUMIX TZ-70 の .RW2 も容量にカウントされませんから無制限にアップロードできます。
→ Tedious Days More × 3 : Amazon プライムフォトその後 ~公式対応外のメーカーの RAW が無制限対象かどうかを確認してみた
プライム・フォトは Amazon Drive のプランのひとつ
ちなみに Amazon プライム・フォトというのは、 Amazon Drive というストレージサービスの写真データの容量がカウントされないプランということです。写真データの他に 5 GB のデータが保存できます。ストレージサービスなので、アップロードしたデータをダウンロードしたものは、元のデータとまったく同じです。
Amazon Drive の懸念事項
ひとつ懸念事項があるとすれば、 Amazon Drive の Unlimited ストレージのプランにてアカウントが停止される事態が国内外で何件か起きているようです。 Amazon Drive の利用規約に抵触したのが原因のようなので、国内から Amazon.co.jp のプライム・フォトに写真データをアップロードしている分には問題ないとは思いますが、万が一のことを考えるとローカルのデータは削除はできません。プライム・フォトを正とするなら、ローカルにバックアップを必ず取り、ローカルを正とするならプライム・フォトはバックアップ扱いとするのがよいと思います。
Amazon プライム・フォトへのアップロード方法は QNAP 経由で行うことにした
先程も書いたように Amazon プライム・フォトというのは Amazon Drive の一種なので、 Amazon Drive へデータを上げればいいのです。
バックアップなので写真を追加したら自動的にアップロードしてほしいわけですが、 Amazon Drive の Mac 用クライアントは差分アップロードや同期には対応していません。そこで登場するのが、先日 HDD を交換した QNAP の NAS です。
→ QNAP TS-212 の単一ディスクの HDD を交換
QNAP の NAS に Hybrid Backup Sync というアプリケーションをインストールすれば、 Amazon Drive にも自動的にバックアップを取ってくれるのです。
→ QNAP : QNAP NAS クラウドバックアップ同期 アプリケーションノート :: Hybrid Backup Sync
現在写真データは Mac mini の増設した HDD に保存しているのですが、 RAW を扱うようになってから容量が足りなくなってきたので NAS に移し、そこから Amazon Drive に同期するように設定する予定です。この運用なら NAS のデータ全体を USB 接続の HDD にバックアップを取っているので、 NAS 本体、 USB の HDD 、 Amazon Drive と 3 か所に写真データが存在することになるので、多分データを失うことはないでしょう。(同期に失敗した場合を除く。)それに加え、余ってる DVD-RAM に焼いて耐火性のある金庫にでも入れておけばさらに安心だと思います。そこまでやるかはわからないけれど。 DVD-R は何年か経つと読めなくなる確率が高いので避けた方が無難です。
というわけで、かなり迷いましたが 10 月に Amazon プライム会員になりました。プライム・ビデオで夫はウォーキング・デッドを見て楽しんでいるようです。わたしはメーデーを見て飛行機事故について詳しくなっています。
QNAP の NAS から Amazon プライム・フォトに自動でアップロードするように設定しました。
→ QNAP の NAS から Amazon プライム・フォトにバックアップする設定