先日、大雨の夜、車を走らせていたのですが、対向車のヘッドライト&テールランプが眩しい! なんでこんなに眩しいのかって思ったら、最近の自動車はエコを売りにランプ類を LED に変更しているというじゃないですか。 LED は分光分布に輝線がある上、指向性が高いので、目に突き刺さるような痛さを感じるんですよ。しかも雨で路面も濡れていたら、もうまぶしさでいっぱい。しかも乱視持ちのわたくしには目を開けていられないレベル。車高が高い車が信号待ちで前に停まった日なんかには、テールランプの LED でもう目つぶしをされたかと思うくらいですよ。
あと、数年前から流行はじめた LED のイルミネーション。冬の夜空を彩るとかいって、あの強い白とか青とかの光を目に突きつけられたら、心温まるどころか、寒々しいしくなるし心まで痛々しくなります。電球のイルミネーションの時は確かにきれいで温かい感じがしたけれど、 LED のライトは下品。なんでも光ってれば同じってわけじゃないんだよ。 LED のイルミネーションをしてエコとかいってるんだったら、イルミネーション自体をしないのが一番エコなんだよ。
目次
白色 LED のスペクトルに見られる輝線
まあ、こうやって、怒りをぶつけていても仕方がないから、 LED について調べてみたら、スペクトルに関するおもしろいサイトを見つけたのでご紹介。
→スペクトル色々:照明とディスプレイ
上記サイトの一番最初のグラフの白熱電球と白色 LED のスペクトルと比べてほしい。白色電球はきれいなカーブを描いている。対して白色 LED は約 460 nm くらいに極端なピークがある。これを専門用語で輝線という。これが、わたしが電球に感じない不快さを LED に感じている理由ではないかと思っている。短波長側が少なく、長波長側が多いにしても、なめらかなカーブを描いている点で、白色電球は LED よりは太陽光に近いスペクトルなんです。太陽は明るいだけじゃなくて、暖かさも与えてくれるし、殺菌作用さってある。一見無駄だと思っているエネルギーで地球は保たれているんです。だから、明るさだけを求めた光源に人間は不快感を抱くんじゃないかと思うのです。
460 nm の光は体内時計を狂わせメラトニンをつくらせない
そして、もっと調べているとこんな論文が出てきました。
→ High Sensitivity of the Human Circadian Melatonin Rhythm to Resetting by Short Wavelength Light 全文はこちらの PDF
ここに書いてあることは、簡単にいうと哺乳類の体内時計と波長の関係。
Exposure to 6.5 h of monochromatic light at 460 nm induces a two-fold greater circadian phase delay than 6.5 h of 555 nm monochromatic light of equal photon density. Similarly, 460 nm monochromatic light causes twice the amount of melatonin suppression compared to 555 nm monochromatic light, and is dependent on the duration of exposure in addition to wavelength.
460 nm の単色光を 6.5 時間浴びるのと、同じ光子密度の 555 nm の単色光の 6.5 時間浴びるのでは、前者の方が 2 倍以上の概日リズム位相遅延を引き起こす。同様に、 460 nm の単色光は、単色光 555 nm に比べて 2 倍のメラトニン抑制量を引き起こし、波長に加えて、暴露時間とも比例する。
(誤訳がありましたらご指摘ください。)
要するに、 460 nm あたりの光を浴びると体内時計がリセットされてしまうし(体が朝だと勘違いする)、メラトニンという寝入るのに不可欠な物質が作られにくくなる。(人間は朝起きてから徐々に体内でメラトニンが生成され、それが睡眠に充分な量になったとき眠くなる。)
ちなみに、 555 nm という単色光を比較に使っているのは、ひとつに、錯体(明るいところで光を感知する細胞)の比視感度のピーク、つまり明るいところで人間が一番光を感じやすい波長が 555 nm だから。ふたつめに、蛍光灯にも輝線はあり、市販されているほとんどの蛍光灯は 3 波長形で、分光分布のピークが 550 〜 600 あたりだからなのではないかと考えられる。(下記のサイトの分光分布を参照。)
→人間環境整合論:蛍光灯の種類別分光分布
白色 LED 製品は買わない!
この 2 つの結果をあわせると、分光分布のピークが 460 nm にある白色 LED の光を浴びていると、体内リズムが狂いやすく睡眠に必要なメラトニンが体内で生成されなくなるため、不眠に陥りやすいという結果が導かれる。
今、省エネとかいってバックライトが LED の液晶ディスプレイとか薄型テレビとか出てるけど、買うのはやめておこうと思う。これ以上不眠になってどうする。逆にいうと、朝、白色 LED の光を浴びると目覚めがよくなるっていうことかしら。まあ、朝だったら普通に太陽の光を浴びた方がいいですよね。例え曇りの日だって。
あとトイレや廊下の電球を LED とかにするのはやめておいた方がいいと思う。なぜなら、夜目が覚めてトイレにいったら、白色 LED の 460 nm あたりの光を強く浴びて、目が冴えてしまって、再び寝付けなくなる可能性があるから。
とにかくなんでも LED にすればいってもんじゃないんだよ、とあさこんは思うのでした。