銀塩写真のフィルムやプリントの退色について調べていたら、理論と業者にスキャンしてもらったフィルムの色合いが一致しないので、自動補正がかかっていると思いました。それが本当かどうか元のフィルムを簡易的にデジタルカメラでスキャンして、 GIMP を使ってネガポジ変換してみました。
目次
フィルムスキャナーを使わずネガフィルムをスキャンする方法
うちにあるスキャナーは EPSON のものでかなり古いです。フィルムスキャンをするつもりがなかったので、透過原稿をスキャンするキッドがついていません。そこでフィルムスキャナーを使わずフィルムをデジタル化する方法を調べてみました。
RAW 撮影できるカメラで白い光を下からフィルムスキャンに当て、それを撮影するのが基本のようです。
→ no+e :最小限の出費でネガフィルムをデジタル化してみる
必要なものは手袋、等倍マクロレンズ、 RAW 撮影ができるデジタルカメラ、三脚、マグネットクリップ 2 つ、スマホだそうです。スマホに白い画像を表示させ、それをフィルムに下から当てて、少し浮かせたフィルムを撮影しています。そうしないとスマホディスプレイのドットが一緒に撮影されてしまうようです。
→ MOR ’ s Weblog :ネガフィルムのデジタル化
この方はフィルム保持に Nikon スライドコピーアダプター ES-1 を使っています。スライドコピーアダプターを使っているので、日中であれば空にカメラを向け撮影しているようです。
→ Dolphin Rocket Blogger :ネガフィルムからポジを作る方法
この方はライトを直接当てるのではなく、白い紙に反射させ、ガラス板の上に置いたフィルムを撮影しています。
実際に行ったネガフィルムをデジタル化する方法
ネガフィルムのデジタル化は節目写真館にやってもらったので簡易的にしました。目的は色素の退色によってネガフィルムに記録されている写真がどのようなヒストグラムになるか知るためなので、家にあるものですませました。

白い画像を作りスマホに取り込み表示させます。フィルムを浮かせるのには息子の積み木を使用しました。ネガフィルムの上に積み木を置くのはどうなの? と思いますが、もうデジタル化は済んでおり処分する予定なので気にしないことにしました。
そしてカメラは LUMIX DC-TZ99 です。(まだ購入した記事を書いていませんが。)
一眼レフを使った方がもちろんきれいに仕上がります。カメラのセッティングはマクロモードで、ノイズが出ないように ISO 80 で、レンズの歪みの影響を少なくするためズームを 35 mm 換算で 90 mm にしました。ネガフィルム上の色の変化を見るのが目的なので、スマホの白い光が画面に映り込むようにしました。これでホワイトバランスが自動でもしっかり合うはずです。
そして重要なのが、部屋を真っ暗にして撮影することです! 最初に撮影したときは蛍光灯の明かりをつけたまま行ってしまったのですが、それだと色味が全然違いました。(フィルムを現像するときも暗室で行いますよね。)
デジタル化のため撮影したネガフィルム
実際にわたしが撮影したネガフィルムです。年代が違うものを 2 つ取り込みました。

1971 年に父が撮影した山陰の日和山海岸の写真です。

2005 年に同じく父が撮影したクロアチアのドブロブニクの写真です。オレンジベースの色が全然違いますね。
GIMP でネガをポジに変換する方法
さて撮影した写真はネガなのでポジに変換します。そしてネガフィルムにはオレンジベースがあるので、その影響を除去してからポジに変換する必要があります。
方法は以下を参考にしました。
→ reddit : GEGL を使って、オレンジマスク付きのネガフィルムスキャンを自動反転させる
フィルムネガにはオレンジマスクがあり、私の知る限り、これを取り除く最良の方法は、未露光のフィルムからフィルムベースの色を取り、その色をブレンドモード「除算」で新しいレイヤーとして追加することです。その後、レイヤーを統合し、画像を反転させる必要があります。
画像編集ソフトならなんでもいいのですが GIMP を使いました。まず撮影したデータが RAW 画像なので、 GIMP に読み込めるように、 ART という現像ソフトで TIFF 16bit で書き出しました。

オレンジベースの色をスポイトで選択します。レイヤー追加のボタンをクリップします。

レイヤーの設定は「モード」を「除算」、「塗りつぶし」を「描画色」にして、「 OK 」をクリックします。

するとオレンジベースの色が白くなり、その影響がなくなったことがわかります。

レイヤーを右クリックして「画像の統合」を選択します。

メニューから「色」→「階調の反転」を選択します。

これでポジに変換されました。

切り抜きをすれば写真画像になります。これがオレンジベースの影響を除去したあとにポジに変換した画像です。ホワイトバランスも撮ったので、現在の退色具合がわかる画像です。全体的に青緑っぽくなっています。

ヒストグラムはこんな感じです。

同じ方法で 2005 年の写真もポジに変換してみました。

1971 年のものよりは青の影響が少ないようですが、それでも全体的に青みがかっています。

ヒストグラムはこんな感じです。
これらを画像編集ソフトや、 現像ソフトでヒストグラムの形を整えれば、退色前の色味に近づけることができますが、今回の目的はフィルムに記録されている色素がどれくらい退色するかを確かめるためだったので、これでお終いです。
Affinity でもネガポジ変換をやってみる
無料の Affinity で行ったら RAW から書き出す手間が省けるのではと思って同じ作業をやってみましたが、 RAW を現像するところで、レンズ補正以外の他の項目は全部オフにしないと、ノイズが強い写真になっていまいました。

そして Affinity で RAW 現像すると画面の白の部分がマゼンタっぽくなるので、新規塗りつぶしレイヤーに白になるべく部分の色を設定して、「分割」にしてマゼンタの影響をなくします。さらに「新規塗りつぶしレイヤー」にオレンジベースを設定して「分割」にして、調整レイヤーで反転を行います。これでだいたい GIMP と同じような結果になりました。計算の処理が違うのか Affinity の方が濃くなりました。 RAW から TIFF に変換するのは ART を使った方が自動補正が入らないようです。
手作業でフィルムをスキャンしてネガポジ変換するのはすごく大変です。やはり業者に頼んでフィルムスキャンしてもらった方が、自動補正もかかってそれなりに見られる写真になってくるので手間が省けます。






