前回の記事(→ 0SIM by So-net で iPhone にて LTE を速くつかむプロファイル 2 つ)にて、「 AttachAPN 」の項目があると LTE を速くつかむようになるということを書きました。ではその「 AttachAPN 」とはどんな設定項目なのでしょうか?
Apple が公開している「構成プロファイルリファレンス」によると、「 AttachAPN 」は 「 Cellular 」ペイロードのプロパティーキーで「必要な場合のみ。 AttachAPN 設定辞書 ( 後述 ) 。」となっています。これでは何のことかよくわかりませんね。
→ Apple :構成プロファイルリファレンス
「 Cellular 」ペイロードは iOS 7 から登場したペイロードで、 iOS 6 以前から使われ iOS 9 で廃止された「 APN 」ペイロードの進化版みたいなものです。
IIJmio の技術者の方のブログ「てくろぐ」にこんな記述があります。
→てくろぐ: APN 構成プロファイルの変更で iPhone ・ iPad の通信が安定?
従来、 IIJmio の SIM カードを iPhone ・ iPad に取り付けた場合、「 LTE 圏内なのに、 3G で接続してしまい、なかなか LTE で繋がらない」「通信ができるようになるまで極端に時間がかかる」という現象がありました。パラメータを追加することでこういった現象が改善し、速やかに LTE で接続できるようになりました。
「てくろぐ」では言及されていませんが、ここに出てくるパラメータこそ「 AttachAPN 」なのです。このパラメータが設定されたことで LTE のみの au 回線を使ったサービス( mineo A プランなど)でも接続できるようになったことと、また iPhone で LTE がサポートされた のが iOS 6 の iPhone 5 からであることより、 LTE の接続の改善に iOS 7 にて 「 Cellular 」ペイロードが導入されたのではないかと考えられます。
また「 Cellular 」の 2 つのプロパティーキーですが、「 APNs 」が従来の「 APN 」ペイロードと同等のもので、「 AttachAPN 」が LTE の接続に関するものだと推測されます。
「 AttachAPN 」は Apple が従来提供していたアプリケーション「 iOS 構成プロファイル」では設定できません。構成プロファイルは XML なので、テキストエディタでごりごり書く必要があります。
MVNO の公式プロファイルでも「 AttachAPN 」のパラメータキーを設定していないものが多数存在しています。前回話題にした 0sim の So-net もそうですし、 OCN なども同様のようです。
iPhone で MVNO にて安定した LTE を使いたい場合、公式プロファイルに「 AttachAPN 」のパラメータキーが設定されているか、面倒でも 1 度構成プロファイルの中身を確認した方がいいように思います。確認の仕方は構成プロファイルをパソコンにてダウンロードし、テキストエディタで開き、「 AttachAPN 」が記述されているか確かめるだけです。もしない場合は、自力で追加するか、前回の記事で紹介した 2 つ目の構成プロファイル・ジェネレータにてプロファイルを作成するのがよいでしょう。
それにしても「 AttachAPN 」プロパティーキーの有無でこんなに LTE のつかみと安定が変わるとは本当に驚きです。
MVNO の代表的な 12 社( OCN 、 IIJmio 、 biglobe 、 U-mobile 、 b-mobile 、 mineo 、楽天、 freetel 、 nifty 、 DTI 、 DMM 、 So-net )を調査しましたが、 2016 年 1 月 11 日現在、公式に配布されている構成プロファイルに「 AttachAPN 」が設定されていないのは OCN と b-molile 、 So-net の 3 社でした。
SMS ありの SIM で「 AttachAPN 」の有無でどのような挙動を示すか実験してみました。
→「 AttachAPN 」は SMS の有無に関わらず LTE 接続を速くする