液体炭酸ガスのボンベ(ミドボン)を使って炭酸水をつくる装置を自作して毎日炭酸水を飲んでいます。
→ミドボンで自家製炭酸水の作り方 〜ミドボンで炭酸水 その 4
先日炭酸水のコストを比べる記事を書いたのだけれど、そこでミドボンで炭酸水を作る際に必要な二酸化炭素の量は、市販のソーダメーカーのカートリッジの量から推測したものでした。カートリッジが 8 g で 800 ml の炭酸水をつくるから、 1 L なら 10 g として計算しました。
→自家製炭酸水のコストを比較 〜なんと 5.6 円から!
ミドボンで炭酸水を 1 L 作る際に必要な二酸化炭素の質量が知りたくなってたので、デジタルスケールを購入しました。二酸化炭素を充填する前と充填した後の質量を測れば、炭酸水を作るのに必要な二酸化炭素の量がわかるはずです。完全に夏休みの自由研究です。
炭酸水を題材としたお手軽な夏休みの自由研究としては、重曹とクエン酸を使って炭酸水をつくるというのがおすすめです。
→重曹とクエン酸による自家製炭酸水の作り方
目次
デジタルスケールの購入
購入したデジタルスケールは TANITA デジタルクッキングスケール ホワイト KD-320-WH です。
最大 3 kg まで計測できて、 300 g までは 0.1 g 単位で、 1.5 kg までは 0.5 g 単位で計測できるというもの。まあ家庭用だから精度はそこそこ。本当は 1 kg まで 0.1 g 単位で測れる電子天秤がほしかったけれど、値段が結構するので諦めました。またチューブの中に残った二酸化炭素などの質量も知りたければ、本来なら炭酸水を作った前後のミドボン自体を秤に載せるべきだと思うのですが、 0.1 g 単位で 5 kg 以上測れる電子天秤なんて 4 万以上するので手が出ません。
実験の方法と条件
実験は次のように行いました。
水 800 g (水温で体積が変化するので質量で計測した)を 1 L のペットボトルに入れ、ミドボンにて 0.3 Mpa (約 3 気圧) で二酸化炭素を充填させました。二酸化炭素を充填する前、充填した後、フタ(カーボネーター)を開けた後、の 3 回の質量を計測しました。試行回数は 10 回でその平均をとります。
実験結果
実験結果は下記の通りです。
試行回数 | 水温 ( ℃ ) | [1]CO2 充填前 (g) | [2]CO2 充填後 (g) | [3]フタを開けた後 (g) | [2]-[1](g) | [3]-[1](g) |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 14 | 861.5 | 868.0 | 866.0 | 6.5 | 4.5 |
2 | 9 | 861.5 | 868.5 | 867.5 | 7.0 | 6.0 |
3 | 9 | 861.5 | 869.0 | 867.5 | 7.5 | 6.0 |
4 | 9 | 861.5 | 869.0 | 867.5 | 7.5 | 6.0 |
5 | 8 | 862.0 | 869.5 | 868.0 | 7.5 | 6.0 |
6 | 9 | 862.0 | 869.0 | 868.0 | 7.0 | 6.0 |
7 | 10 | 862.0 | 869.0 | 868.0 | 7.0 | 6.0 |
8 | 12 | 861.5 | 869.0 | 867.5 | 7.5 | 6.0 |
9 | 6.5 | 861.5 | 869.5 | 868.5 | 8.0 | 7.0 |
10 | 5 | 862.0 | 870.0 | 868.5 | 8.0 | 6.5 |
平均 | 7.4 | 6.0 |
[2]-[1] :ミドボンで炭酸水を作成するときに使用したおおよその二酸化炭素の質量 (g)
[3]-[1] :水に溶け込んだ二酸化炭素の質量 (g)
[1] の二酸化炭素充填前の質量に誤差があるのは、カーボネーターが 2 つあるので使用したカーボネーターによって 0.5 g の違いが現れたものと思われる。
空気の浮力による補正を考える
[2]-[1] でミドボンで炭酸水を作成するときに使用した二酸化炭素の質量がわかるが、ペットボトルの水以外の部分は空気が二酸化炭素に置き換わっているため、空気の浮力による補正を考慮しなければならない。アルキメデスの原理により置き換わった分だけ軽くなるので、二酸化炭素に置き換わった空気の質量を計算すればよい。
1 L のペットボトル 800 ml の水を入れたときの水以外の空間の体積は、ペットボトルに水とすりきりまで入れて質量を測り、その後 800 ml を取り出し、残りの水の質量で計算すると、 233 ml であった。( 1 g = 1 ml として計算した。)
室温 30 ℃での乾燥空気の密度は下記の計算式で求められる。
→ Wikipedia :空気
ρ = 1.293P / (1 + 0.00367t) [kg/m3] P は大気圧 atm 、 t は温度 ℃
ρ = 1.293 / (1 + 0.00367 × 30)
=1.1645799 …
=1.165 [kg/m3]
=1.165 [g/L]
1.165 [g/L] × 0.233 [L] = 0.27138
= 0.27 [g]
湿気が多いので実際はこれより軽いことがわかる。
→ゴム動力模型飛行機:湿度が高いと空気は軽い
0.5 g 単位でしか測れない測りで 0.27 g は誤差と考えられるが、一応補正のため足してみると下記のようになる。
7.4 [g] + 0.27 [g] = 7.67 [g]
結論
カーボネーターとチューブの接続を外すときに、チェックバルブでないので二酸化炭素が漏れていること、またチューブの中にも二酸化炭素が残っていることを考えると「 1 L のペットボトルで 800 ml の炭酸水を作るときに必要な二酸化炭素の質量はおおよそ 8 g である」と結論づけてよいだろう。
よって以前ミドボンで炭酸水自作時のコスト計算で用いた、 800 ml の炭酸水を作るのには質量 8 g の二酸化炭素が必要というので問題なかったという結論が出た。
その他の考察、今後の展開
今回、ミドボンで炭酸水を作るにあたって水温も計測した。[3]-[1] は水に溶け込んだ二酸化炭素の量である。この量が多ければ多いほど強炭酸である。
1 回目から 8 回目までは冷蔵庫のドアポケットで水を冷やした。ドアポケットの場合、水温は下がっても 8 ℃ までだ。 9 回目、 10 回目は水を冷蔵庫のチルドルームで冷やした。すると水温は 5 〜 6.5 ℃ まで下がっている。
水温が 8 〜 9 ℃ の場合、充填した二酸化炭素の量は多くても、フタを開けた後の二酸化炭素の質量は 6 g であり圧力をかけても、二酸化炭素が水に溶け込まないことがわかる。つまり二酸化炭素の無駄使いをしていることになる。
水温が 5 〜 6.5 ℃ のときは、充填した二酸化炭素の量も多いが、水に溶け込んだ二酸化炭素の量が多く強い炭酸水ができあがっていることがわかる。
今後の課題は、同じ水温でかける二酸化炭素の圧力を変化させたらどうなるか、また二酸化炭素が溶け込みやすい水温はどれくらいか、の 2 点。同じくらいの強さの炭酸水を作るのに、水の温度を下げれば少ない圧力ですみ、使用する二酸化炭素の量も少なくてすむのではないか、という考えが浮かぶのである。やはり 1 kg で 0.1 g まで計れる電子天秤がほしい!
A&D パーソナル電子天びん 0.1g/1200g [EK1200I]
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