炭酸水は簡単に家で作れます。市販の炭酸水メーカーのように圧力で二酸化炭素を水に押しこむものもありますが、器具とカートリッジが必要になるので、手軽で安価に手に入るもので作っています。
それはナチュラルクリーニングでもおなじみの重曹(炭酸水素ナトリウム)とクエン酸です! この 2 つを混ぜると炭酸ガス(二酸化炭素)が発生するので、これを利用すると炭酸水が作れるのです。
ミドボンでの炭酸水づくりを始めました。
→ミドボンで自家製炭酸水の作り方 〜ミドボンで炭酸水 その 4
目次
重曹とクエン酸による炭酸水の作り方
- 水 500 ml を冷やしておく
- 重曹とクエン酸を小さじ 1 杯ずつ紙の上に取る
- 空のペットボトルに 2. を入れる(ジョウゴを使うと便利)
- 水を素早く入れ蓋を閉める
- 二酸化炭素が漏れないように逆さにして冷蔵庫で 1 日寝かせる
コツみたいなもの。
- ペットボトルは必ず炭酸飲料の入っていたものを使うこと! お茶とかのだと圧力に耐えられず爆発します。
- 重曹とクエン酸は薬品レベル(最低でも食品添加物レベル)のものを使うこと。不純物が多いと味がまずくなるから。薬局で手に入ります。
- 水はペットボトルのなるべくギリギリまで入れた方がよい。空気が入ると発生した二酸化炭素により圧力がかかりにくくなるので二酸化炭素が水に溶けにくい。
- 冷やした水を使うのは温度が低い方が炭酸が水に溶けすく、重曹とクエン酸が急激に反応しにくいから。
- クエン酸のカルボキシル基が全部反応するとは限らないので、重曹の苦味が残らないように、重曹よりクエン酸を気持ち多めに入れる。
あとで説明するように化学反応のクエン酸ナトリウムが残るので、二酸化炭素に圧力をかけたものと比べると、酸っぱいような辛いような少し味がします。それを消すためにレモンなどの果汁を入れたり、フルーツ酢やカルピスを割って飲むとおいしいです。
塩分(ナトリウム)が含まれていますが、炭酸のおかげで血圧は上がらないので安心していいです。むしろ下がります!
→炭酸水(砂糖なし)を飲むと血圧が下がる
重曹とクエン酸の反応式
水にクエン酸と炭酸水素ナトリウムを混ぜるとクエン酸ナトリウムと炭酸ができます。化学式で書くと次のようになります。
HOOCC(OH)(CH2COOH)2 + 3NaHCO3 → C3H4(OH)(COONa)3 + 3H2CO3
クエン酸+炭酸水素ナトリウム→クエン酸ナトリウム+炭酸
これは弱酸遊離という反応です。クエン酸は強い酸ではありませんが、炭酸に比べたら(相対的に)強い酸なのでこのように反応します。
また炭酸 H2CO3 は不安定な物質なので、すぐに水 H2O と二酸化炭素 CO2 に分解されていまします。これが炭酸水の泡の正体です。
わかりやすくクエン酸のカルボキシル基 (COOH) 以外を R と表すと次のような感じになります。
R-(COOH)3 + 3NaHCO3 → R-(COONa)3 + 3H2O + 3CO2
しかしクエン酸の 3 つのすべてのカルボキシル基が反応するわけではなく、炭酸水素ナトリウムの量によっていくつ反応するか変わってくるようです。
1L の二酸化炭素を作るのに必要な重曹とクエン酸の量を計算してみる
重曹(炭酸水素ナトリウム)は 84 g/mol 、クエン酸は 192.124 g/mol なので、クエン酸のすべてのカルボキシル基が反応すると仮定した場合、重曹 252 g に対しクエン酸 192.124 g が反応します。(実際はクエン酸のすべてのカルボキシル基が反応するわけではないので、反応しない重曹が余ってしまい苦くなるので、クエン酸を少し多めに入れた方がよいと思います。)
3 mol の重曹 252 g と 1 mol のクエン酸 192.124 g が反応すると、 3 mol の二酸化炭素が発生します。 0 ℃、 1 気圧での気体 1 モルの体積は 22.4 L なので、 15.6 ℃(後述のガス・ボリュームの基準) の時の体積はシャルルの法則より「圧力一定で、一定量の気体の体積 V は、絶対温度 T に比例する。」ので下記の式で求められます。
22.4 / 273 × (273 + 15.6) = 23.68 L
3 mol の重曹と 1 mol のクエン酸が反応すると、 15.6 ℃ の時、 3 mol = 71.04 L の二酸化炭素が発生します。 1 L の二酸化炭素を発生させるのに必要な質量は、重曹 3.55 g 、クエン酸 2.70 g です。
重曹の密度は 2.20 g/cm3 なので、 3.55 g は 1.61 cm3 、クエン酸の密度は 1.665 g/cm3 なので、 2.70 g は 1.62 cm3 となります。クエン酸のカルボキシル基がすべて反応すると仮定した場合、重曹とクエン酸は体積比でおよそ 1 : 1 で混ぜればよいことがわかります。
炭酸の強さ、ガス・ボリューム
炭酸飲料にどれくらいの二酸化炭素が含まれているかをあらわすのに「ガス・ボリューム( gas vol )」という体積比を使うみたいです。炭酸水でガス・ボリュームが「 1 」の場合、水 1 L に対しの中に二酸化炭素が 1 L 溶け込んでいるという意味になります。 15.6 ℃ の気体の体積を基準にして計算します。( 15.6 ℃ は中途半端だけれど、華氏だと 60 ℉ となります。)
周りにある炭酸飲料のガス・ボリュームを調べてみました。
→きた産業:お酒テクニカルコラム 「ガス入りのお酒」
ドイツ製スパークリングワインの例 | 1.5 - 1.8 |
ファンタオレンジ | 1.9 - 2.0 |
キリン、アサヒなどのラガービール | 2.5 - 2.8 |
(ヘッフェ)バイツェンビール | 3.0 - 3.1 |
コカコーラ | 3.7 - 3.8 |
ペリエ(ミネラルウォーター) | 3.8 - 3.9 |
にごり酒(活性清酒)の例 | 4.0 - 4.1 |
フランス製シャンパンの例 | 5.0 - 5.5 |
だいたいガス・ボリューム 3 くらいあればいいことがわかりました。
ガス・ボリューム 3 の 1 L の炭酸水を作るのに必要な二酸化炭素の体積は 3 L です。なので、重曹 10.64 g 、クエン酸 8.11 g が必要ということがわかります。密度から計算するとこの量は重曹 4.83 cm3 、クエン酸 4.87 cm3 で、約 5 cc 、小さじ 1 杯弱ということになります。
しかしいろいろなサイトを見ていると、 500 ml でガス・ボリューム 3 の炭酸水を作るのに、重曹とクエン酸を小さじ 1 杯ずつ、と書かれているところが多いです。
→究建築研究室 Q-Labo. :炭酸水の作り方(クエン酸+重曹)
→男料理・アイデア料理:炭酸水(サイダー)を作る方法
なぜ倍の量が必要なのでしょうか。粒の大きさが違ったりするからでしょうか。反応してすぐに二酸化炭素になってしまって逃げてしまう分があるからでしょうか。小数点以下も測れる秤を手に入れて実際に測ってみるしか答えはでなさそうです。