3 年前に購入した QNAP TS-453D の PCIe スロットに SSD を増設し、 SSD キャッシュを設定した話です。今年 8 月下旬の話の備忘録です。
目次
QNAP TS-453D に SSD を増設するための部品の調達
QNAP TS-453D には PCIe スロットがついていてそこに M.2 の拡張カードを挿すと M.2 の SSD を搭載することができそれをキャッシュやボリュームとして使えます。
QNAP TS-251D ですが社外品の PCIe カードを使った場合、キャッシュのみ有効にできるようです。
→ぼっちバイカーのブログ:【 SSD キャッシュ】 QNAP TS-251D で M.2 SSD を使って爆速 NAS をつくる方法
わたしは M.2 の SSD を 2 本載せ、 1 本をキャッシュにし、もう 1 本をボリュームとして使いたかったので、正規品を載せることにしました。
→ぐふとく!: QNAP TS-453D に QM2-2P-344 を増設してみた
上記のサイトで使われている QM2-2P-344 は現在 8 万 5 千円程度します。新しい NAS が買えるじゃないか、と思って調べていると、 QNAP TS-453D はまだ現行品なので、 QM2-2P-244A も対応品でした。
→ QNAP : QM2-2P-244A
10 GbE のポートもついた QM2-2P10G1TB も検討しましたが、 QNAP TS-453D は PCIe Gen2 × 2 のスロットなので 10 GbE の LAN ポートをつけてもフルには使えないし、自宅の LAN 環境が対応していないので、 10 GbE 化は見送りました。
円安とヒートシンクに使われている銅の高騰の影響で QM2-2P-244A も値上がりしていましたが、 OCN オンラインショップ(旧 NTT-x Store )で 2000 円のクーポンが出ていたので購入しました。在庫なしの取り寄せ品だったのですぐに届くとは思っていなかったのですが、注文から何日か経ってからメーカ欠品で納期未定の連絡がきました。それ以後連絡がないのでキャンセルして他で買おうと思って利用規約を調べているとなんとキャンセル不可でした。すごく落ち込んでいたのですが、その後なぜかすぐに発送メールがきて商品が届きました。
そして載せる M.2 の SSD は KIOXIA の 1 TB の EXCERIA G2 SSD-CK1.0N3G2/N を 2 本購入しました。アメリカの中国からの輸入制限のため SSD の価格が下がっています。
お値段はお手頃なのに DRAM 搭載です。同じ価格帯の Crucial のものと迷いましたが、そちらは DRAM 非搭載とのことで KIOXIA にしました。総書き込み容量も 400 TBW とそこそこです。
→プロガジ:【 KIOXIA EXCERIA G2 レビュー】低価格でコスパが良い NVMe SSD
QNAP TS-453D に QM2-2P-244A と SSD を取りつける
届いた QM2-2P-244A です。
KIOXIA の SSD 1TB 2 本です。
ブラケットを直線のものと交換します。
PCIe カードのヒートシンクのネジを取り開き、 SSD のチップ側にサーマルパッドを取りつけ、反対側にゴム足を取りつけます。
この時拡張カード側の温度センサがきちんと SSD に設置するようにゴム足の取りつけ位置に気をつけます。
SSD キャッシュとメモリの容量の条件が QTS 4.5 以前と 5 以降では違うので、 QNAP を 5.1 系にアップデートしました。
→ QNAP :キャッシュ加速の要件
QNAP TS-453D をシャットダウンしコード類を抜きます。
TS-453D の拡張スロットは本体上部にあるので、ケース前面のパネルを外し、背面のネジを 3 つ外します。
ケースを後ろに 1.5 cm ほどスライトさせ正面左にさらにスライトさせれば本体カバーが外せ拡張スロットにアクセスできます。
拡張スロットに QM2-2P-244A を差してブラケットをねじ止めしたところ。これで拡張カードの取りつけは完了です。
QNAP TS-453D を起動して SSD が認識されているか確認します。コントロールパネルの「ストレージ&スナップショット」の「ディスク /VJBOD 」にて状態を確認すると無事に認識されました。
「キャッシュ加速」にて「 + 」ボタンを押します。
「ビデオストリーミングなど大規模なファイルシーケンシャルアクセスを向上させるには、 NAS 内の SSD に対する比率が少なくとも 1 : 3 であるか、または PCIe SSD を使用する必要があります。」
との注意書きが出てきました。今回は PCIe 接続の SSD を使うのでランダム I/O とすべての I/O のどちらでも設定可能です。
キャッシュモードはとりあえずランダム I/O を選びました。構成は後で変更できます。
キャッシュに設定する SSD のディスクを選びます。しかし 3 つある HDD が 1 つしか表示されません。
コントロールパネルの「ストレージ&スナップショット」の「ストレージ領域」を見てみると、認識された 1 つの HDD 以外はレガシーボリュームとして認識されていました。
→ QNAP :レガシーボリューム
QTS 4.3.4 以前で作成したレガシーボリュームだと SSD キャッシュは使えないようです。使うためには一度バックアップしてデータを復元せよとのこと。ああ面倒です。
ということで 2 日間かけて、 3.5 TB のデータを外付け HDD に退避させ、新しい静的ボリュームをつくりデータを戻しました。
SSD キャッシュの設定
ランダム I/O のバイパスブロックサイズを 16 MB に設定しました。根拠はわたしのデジカメ写真の RAW ファイルが約 14 MB だったからです。 RAW ファイルをキャッシュできたら Lightroom の動作も速くなるはずです。
今度はすべての HDD が表示されました。下 2 つの HDD にはサイズの大きなファイルしか入っていないのですが、ファイル構成のインデックスなどをキャッシュしてくれたら動作が速くなるかな、と思い一応設定しました。
作成をクリックします。
注意事項が表示されます。 SSD を取り外すときはコントロールパネルから SSD のキャッシュを切ってからにしないとデータが破損するようです。
SSD キャッシュのサービスをオンにしたら、キャッシュが開始されます。長かったです。
SSD キャッシュ設定前後でスピードテスト
残念なことにスピードテストではランダムリードが少し速くなっただけで、有意義な差を見つけられませんでした。多分キャッシュなので Lightroom の写真の表示等は 2 回目からは速くなっているはずです。でも Lightroom はアプリケーションにキャッシュがあるからあまり変わらないかもれません。
ちなみに NAS にある音楽を聞きながら、 NAS にある写真を編集して記事を書いていたときのキャッシュのヒット率は以下のようです。
キャッシュのヒット率は平均で 60 % 程度のようです。
思っていたほど速くならないので、続いて QNAP TS-453D と Mac mini 2018 を直接接続するという暴挙に出たのでした。